「最低賃金・2024年問題」テーマに青森労働局が特別授業/キャリア特別実習

青森大学の授業「キャリア特別実習」で6月12日、「どうみる最低賃金・2024年問題」をテーマに、青森労働局による特別授業が行われました。上野諭・労働基準部長が、講話を起点に学生たち約60人と対話を展開し、青森県の最低賃金をいかに上昇させるか、また、運転手不足による物流の2024年問題に対して「学生ができること」をめぐって活発な意見が交わされました。

キャリア特別実習は総合経営、社会、ソフトウェア情報の3学部の1~4年生を対象とした、青森キャンパスとむつキャンパスの合同授業です。就職活動の力に加え、生涯にわたる「キャリア観」を、多彩な実践を通じて涵養することを目指しています。これまで青森財務事務所、青森県選挙管理委員会、NHK青森、JR東日本などと連携し、特別授業を実施してきました。

今回の特別授業に際しては、事前に複数回、学生たちにアンケートを実施するとともに、「25歳の若者が青森市で独り暮らしをするには月25万円程度が必要」という労働団体の試算を伝えた地元紙記事を学生に紹介しました。また、また、上野部長の講演資料をあらかじめ提示して、知識や関心度の変化を確認した上で、当日の対話をセットしました。

上野部長は平易な語り口で、公務員になった動機や労働行政の仕組み、最低賃金の決まり方、国としての賃金アップ支援、物流の2024年問題のポイントを解説しました。

これに対し、学生からは「会社と労働者だけでは解決できない問題に、多くの人がかかわっていることに感銘を受けた」、「さまざまな支援や仕組みがあることが分かったが、結局、自分たちには何ができるのか、と考えさせられた」といった感想が聞かれました。

また、2024年問題をめぐって「運転者以外の人について、どのような対応が考えられるか」と質問があり、上野部長は「宅配便を時間指定しておいて留守にすると、再配達でトラックドライバーの負担が大きく増える。負担が増えないような工夫を皆さんも考えてほしい」と対応を促しました。

事前のアンケートでは、学生たちは労働局の存在をそれほど強く意識していませんでしたが、週が進むごとに関心が高まり、労働に関する問題を急速に「自分ごと」ととらえ始めた姿が見て取れました。さらに、当日の対話を通じて上野部長の熱意が強く印象に残った様子でした。